


海外FXの口座を比べるとき、ロスカット水準(ストップアウト水準)はよく比較項目に出てきます。証拠金維持率が20%まで下がったら強制決済される口座もあれば、0%まで粘る口座もある。ならば0%のほうが粘れる——そう説明されることが多いはずです。
ところが、当研究所が公開しているナンピン計算ツールで実際に計算してみると、この差が結果に出る条件は、思っていたよりずっと限られていました。この記事では、その計算結果と「なぜそうなるのか」を整理します。同じ計算は、記事内で紹介するツールにあなた自身の条件を入れれば再現できます。
こんな方におすすめ
- ロスカット水準0%の口座は本当に有利なのか知りたい方
- ナンピン系のEA(自動売買)を動かす口座を選んでいる方
- 「あと何回逆行したらロスカットか」を自分の条件で把握しておきたい方
- 口座スペックの比較記事を読んでも、結局どこが効くのか分からなかった方
結論:効いているのは「水準%」ではなく「証拠金の金額そのもの」
先に結論をまとめます。
この記事の結論
- ロスカット水準の差は「必要証拠金 × 水準%」という金額として効く
- レバレッジが高いほど必要証拠金が小さくなるので、その金額差も小さくなる
- 耐える回数を大きく動かしていたのは、水準%よりも「証拠金がいくらあるか」だった
- ただし資金に対してロットを大きく取ると、高いレバレッジでも差が出る場合がある

なぜレバレッジが高いと差が出にくいのか
ロスカットは、証拠金維持率が一定の水準を割ったときに執行されます。そして、その「水準%」が金額としていくらになるかを決めているのが必要証拠金です。

必要証拠金は、次の式で計算されます。
必要証拠金 = ロット × 価格 × 契約数 ÷ レバレッジ
※「契約数」は、その通貨ペアで1ロットが何通貨単位にあたるかを示す数字です(クロス円なら10万通貨)。
ここでレバレッジが分母にあることに注目してください。レバレッジを上げるほど、必要証拠金そのものが小さくなります。
ロスカット水準20%というのは「必要証拠金の20%を残した時点で切る」という意味です。つまり20%と0%の差は、必要証拠金の20%という金額にすぎません。必要証拠金が小さければ、その20%はもっと小さい金額になります。


実際に計算してみた(レバレッジ別)
言葉だけでは分かりにくいので、条件をそろえて計算しました。使ったのは当研究所のナンピン計算ツールの計算エンジンそのものです。
【計算に使った条件】
- 通貨ペア種別:クロス円(初期価格 146.5)
- 残高:50,000円/クレジット(ボーナス):0円
- 初期ロット:0.01/ナンピン倍率:2倍/ナンピン幅:50pips
- ロスカット水準:20% と 0% を入れ替えて比較
この条件で「何回目のナンピンで強制ロスカットに到達するか」を見たものが次の表です。
| レバレッジ | ロスカット水準20% | ロスカット水準0% | 差 |
|---|---|---|---|
| 25倍 | 5回目で到達 | 6回目で到達 | あり(1回) |
| 100倍 | 6回目 | 6回目 | なし |
| 500倍 | 6回目 | 6回目 | なし |
| 1000倍 | 6回目 | 6回目 | なし |
| 2000倍 | 6回目 | 6回目 | なし |


なお、この検証は当研究所側で自動テストとして残してあります。口座のプリセットを入れ替えたときに計算結果が変わるかどうかを、ツールを更新するたびに自動で確認する仕組みです。
ただし「高レバなら関係ない」とは言えない
ここが大事なところです。上の表だけを見て「レバレッジが高ければロスカット水準は気にしなくてよい」と一般化すると、外れる条件があります。
条件をもっと広く振って総当たりで確かめました。レバレッジ5種(25/100/500/1000/2000倍)× 初期ロット4種(0.01/0.05/0.1/0.5)× ナンピン倍率4種(1.5/2/2.5/3倍)= 80通りで、20%と0%の結果を比べています。
| レバレッジ | 差が出た組み合わせ数(各16通り中) |
|---|---|
| 25倍 | 16 |
| 100倍 | 12 |
| 500倍 | 1 |
| 1000倍 | 1 |
| 2000倍 | 0 |
80通り中30通りで差が出ました。そして500倍・1000倍でも差が出る組み合わせがありました。どちらも「初期ロット0.05・ナンピン倍率3倍」という、資金5万円に対してロットを大きめに取った条件です(20%なら3回目、0%なら4回目で到達)。



耐える回数をはっきり動かしたのは「証拠金の額」だった
同じ条件で、今度はクレジット(ボーナス)だけを足して計算しました。
| 条件(レバレッジ1000倍・ロスカット水準20%) | ロスカット到達 |
|---|---|
| クレジット 0円 | 6回目 |
| クレジット 50,000円 | 7回目 |
ロスカット水準を0%に変えても動かなかった回数が、証拠金を積み増したら1回伸びました。

自分の条件で確かめる方法
ここまでの計算は、すべて公開中のツールで再現できます。ナンピン計算ツールを開き、上の「計算に使った条件」をそのまま入力してみてください。ロスカット水準の欄を20%と0%で入れ替えると、到達回数が変わるか・変わらないかがその場で分かります。
主要な海外FX口座の条件(ロスカット水準・最大レバレッジ)はプリセットとして用意してあるので、ご自身が使っている口座を選んでから、残高とロットだけ自分の数字に置き換えるのが手早い使い方です。


この記事の注意点
本記事の数値は、上記の条件を当研究所の計算ツール(2026年8月時点・v1.1.1)で計算した結果です。ツールの計算式を見直した場合、数値が変わることがあります。実際の約定ではスプレッド・スワップ・急変時のスリッページ等により結果は変わります。また口座条件は各社の変更により変わることがありますので、最新の条件は公式情報でご確認ください。特定の口座や取引を推奨するものではありません。
まとめ
- ロスカット水準の差は「必要証拠金 × 水準%」という金額として効く
- レバレッジが高いほど必要証拠金が小さくなるため、水準の差も出にくくなる
- 今回の既定条件(残高5万円・0.01ロット・ナンピン2倍)では、100倍以上で20%と0%の到達回数が同じだった
- ただし資金に対してロットを大きく取ると、500倍・1000倍でも差が出た=「高レバなら無関係」とは言い切れない
- 回数をはっきり動かしたのは、水準%ではなく証拠金として使える額だった


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2014年からFXの世界に飛び込み、感情に左右されるトレードの難しさに直面。ITエンジニアとしての経験を武器に、「いかにシステムの力でメンタルと資金管理を安定させるか」をテーマにツール開発を始めました。
MQL4(MT4言語)は独学であり、決して「神業的なコードを書くプログラマー」ではありません。しかし、独学だからこそ、初心者や個人トレーダーがどこで躓き、どんなツールがあれば救われるのかを誰よりも理解している自負があります。
「かつての自分と同じように、感情や管理の難しさで悩むトレーダーが、システムの力を借りて一歩先へ進めるように」
そんな想いで、日々ツールの改良と相場分析に励んでいます。
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多機能パネルEA「Exy-Panel ONE」をはじめ複数のツールをリリース。
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